三条エコノミークラブ

本例会レポート

55周年記念公開例会レポート

2016年9月27日(火)Geo World VIPにて、『55周年記念公開例会』が開催されました。

 

テーマ:『夢が叶う街 ~思うは招く~』

講師:植松電機 代表取締役 植松 努 氏

 

はじめに、久保会長より、お忙しい中お集まり頂いた植松講師、仕事でお疲れの後わざわざ会場まで足を運んで頂いたお客様、そして開催にあたって多大なご支援とご協力を頂きました皆様へ感謝を述べられました。「本日、皆様とここで学べることがエコノミークラブにとってとても価値がある事、そして皆様がお話の中で学んで頂き、少しでも明日への活力になり、成長できることが出来れば幸いです。」と挨拶がありました。

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続いて、講師紹介が行われました。

幼少から宇宙にあこがれ、大学では流体力学を学び、航空機設計を手掛ける会社へ入社。1994年にお父様の経営される植松電機へ入社されました。

2004年にはカムイ式ロケットの研究を進めていた北海道大学 永田教授と共同開発。JAXAとも共同打ち上げをされています。植松講師は、あの世界的な講演会TEDでの講演経験もあり、期待の高まる講演となりました。

 

そして、400枚のスライドを手元に講演が始まりました。

この度の講演会で植松講師の目的は「仲間を探す事」と冒頭にお話し頂きました。

「思うは招く」母のこの言葉のおかげで何でも出来るようになり、それには「夢」が必要不可欠であると仰いました。

 

はじめに、今後の人口減少動向をお話し頂きました。「かつて例のない『人口激減社会』日本の人口は、明治維新後すさまじい勢いで人口が増加したが、今後の未来はかつてない勢いで人口が激減する社会です。これから私達が生きていく社会は人口が増えている時代の『常識』や『普通』が全く通用しない時代を生きていきます。当然、売り上げは人口に比例します。」と仰いました。

 

そういった未来を生き抜いていくには『夢』が大切だと仰いました。

夢を叶えるには、親や周りの大人の子育て・教育の仕方がとても重要であり、よく「勉強していい大学に入って、楽して安定しているいい会社に入りなさい。」と言われています。『楽(らく)』と『楽(たの)しい』は全く違い、努力して得た能力をなるべく使わなくていいような会社に入っても意味がない。夢に向かって能力を最大限に生かせる会社に入って楽しい仕事をした方が今後の社会を生きていける力が身につくとしました。

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また、永田教授とのカムイ式ロケットの共同開発を例に。

講師は「ちゃんとしなさい!」という言葉に振り回されて来たと言います。その言葉には、人を頼らない、弱みを見せないという解釈があり、仮面をかぶり続けた結果、独りぼっちになり、失敗を積み重ねる。そうではなく、人を頼って悩みを相談する。お互いが足りないモノを補う事で一人では出来ない事が出来るようになる。そして、困難には不安がつきもので、その不安から逃げていては乗り越えられた時の喜びを感じられない。失敗を恐れず向って欲しいとお話し頂きました。

 

宇宙事業には莫大な資金が掛ると思われておりますが、講師は企業などの援助は一切もらわず自分たちの出せる資金でやってきている事には驚きました。

なにがそれを可能にさせたかというと「お金が無いから」「自分には出来ない」など「どうせ無理」を無くし。

小さい可能性に挑戦する事で小さかった可能性が少しずつ大きくなっていきます。その事を講師は誰よりも理解し実践しています。JAXAとの共同開発に至るまでに、1日のレンタル料が600万円もするスペースチャンバー(空間を宇宙と同じにする設備)で様々な実験をクリアしなければロケットを宇宙へ飛ばす事はできないと一蹴されたそうです。無ければ作ればいいと、様々な実験設備を自分たちで作り上げる事で目の前の壁をクリアしていったそうです。

そこで出てくるのが失敗です。「失敗に罰を与えては行けない。罰を与えてしまうと失敗しない様にと、何もしなくなる。そこにはもう個性が無くなってしまいます。失敗を隠すようになります。失敗は成功への種です。罰を与えないで下さい。」とロケット開発での失敗談と交えて子供への接し方を話して頂きました。

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最後に、夢に関してのお話がありました。

まだ夢が無いという子供は、大人の責任であり、夢と仕事を一緒に考えている大人が多い。夢と仕事は別物で考えるべきとしました。

「夢とは、大好きな事やってみたい事です。どんな小さなことでもどんどん挑戦してみる事が大切です。」

「仕事とは、人の役に立つ事です。」

「大好きな事や、やってみたいことが、人の役に立つようになったら夢が仕事になるのです。」

「中途半端だって、なにもしない、なにもできないより全然いい。」

と、子供たちに向け、選択肢の幅と可能性を広げて欲しいと仰いました。

大人に向けても、子供の夢を「無理」と言わず、子供のやる事一つ一つに可能性を見出させるべきであり、それを全力で応援してあげる事で今後の未来を切り開ける人材になるとしました。「工場がロボットによる全自動化がやってきます。ロボットと人間の決定的な違いは『考える力』です。身の回りの悲しい事、苦しい事、不便な事を自分ならどうするか考えてみるのです。これを考える事が新しい事の種になります。考える時には『優しさ』を持ち優しさには『自信』が必要で、自信を持つためには『やったことが無い事をやる』が一番いいです。」とお話し頂き、講演を終えました。

 

続きまして、色紙受贈に移りました。

「思うは招く」 困難にぶつかった時に思い出す言葉で、理想を求めて頑張り続ける。

「子供がやる事を理解できない大人は日本を衰退させてしまう。子供がやる事を理解できる大人が増えれば未来に日本は明るくなります。どうか子供たちの可能性を潰さず、広げてあげて下さい。」とお話し頂き、色紙を渡されました。

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例会も終盤を迎え、加藤委員長より挨拶がありました。

「植松講師が目の前で講演されている事が、私の夢の一つでした。動画を拝見した時、涙を流し、この地から日本を元気にするには植松講師のお力が必要でした。本日のお話を、少しでも皆様に持ち帰って頂き、役立ててもらえたら幸いです。」と挨拶がありました。

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今年の55周年記念公開例会を通して。830名を超える来場があり、会場を満員で埋め尽くしました。改めて今後の人口減少社会の中を生き残っていく為には、現在の生業を大切にしながら、新しい事にチャレンジしていく姿勢を子供たちに見せていく事が大切だと感じました。その姿勢は社会情勢こそ違いますが、自企業の創業者の背中を見て育った私達が一番よく知る姿だと思います。

その姿は、何としても会社を成功させる為に貪欲に働く姿を見てきました。時代は繰り返すとよく言います。

一周まわって今度は私達が、今ここで貪欲に学び、自企業と地域経済、そして子供たちへの「夢」を応援する事で、自身が未来へつなげる人材になり、未来をつなげられる子供達を育てていかなければならないと感じました。

心に残る、素晴らしい55周年記念公開例会となりました。

 

広報委員会 湯本 辰典

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